「空き家の片付けには補助金が使えるの?」
「補助金の金額は?何か条件ってあるのかな?」
空き家の片付けには自治体の補助金が利用できます。
日本は少子高齢化による人口減少で空き家が増えており、所有者の負担を減らして空き家の売買や処分を促すために、片付けに対して補助金が出る自治体が多いです。
この記事では、空き家の片付け補助金の概要や利用できる自治体の条件、実際の片付け補助金の実例や申請の流れを紹介しています。
空き家の売却をお考えの方は、空き家売却の流れとは?早く・楽に空き家を売却したい人向けのサービスを解説も参考にしてください。
目次
空き家の片付けは補助金が利用できる!

空き家の片付けには補助金を利用できます。
過疎化が進んでいる地方などでは、放置された空き家を問題視しており、積極的な片付けや解体を推奨しています。
その一環で、空き家を片付けようとしている所有者に対して、片付け費用の一部を負担する制度があります。
空き家が所在する自治体によって補助金の有無や支給条件が異なるため、確認が必要ですが、空き家の片付け費用の一部を負担してもらえるのは嬉しいですよね。
空き家片付けの補助金制度が利用できる自治体とは

空き家片付けの補助金制度が利用できるのは、以下3つの条件に当てはまる自治体です。
- 空き家バンクに参画している
- 空き家率が高い
- 人口が著しく減少している
このような地域では空き家が増加している傾向があり、そのまま放置すると倒壊や景観の悪化、治安の悪さの原因となります。
これを防ぐために、上記3つの条件に当てはまる自治体は率先して補助金制度を展開して、所有者に対して空き家の片付けを促しています。
空き家問題の詳細は空き家のメンテナンス不足がトラブルに?管理方法や実家じまいの方法で説明しています。
空き家の片付け補助金の対象者

空き家の片付け補助金はどのような人が利用できるのか、対象者について説明します。
- 空き家の所有者(個人)であること
- 固定資産税の滞納がない
- 反社との関係がないこと
- 空き家を売却・賃貸する予定がないこと
自治体によって支給条件は異なりますが、原則以上の4つは最低条件です。
さらに、空き家バンクに参画している自治体では「空き家バンクの所有物件を登録していること」「空き家バンクに自治体が指定する期間以上登録していること」などが求められる場合があります。
また、自治体によっては所有者ではなく『移住者』が対象の場合もあります。
これは、空き家を購入した移住者がスムーズに生活を始められるように補助する意味合いです。
いずれにしろ条件の詳細は自治体に問い合わせが必要なので、役所に補助金の利用条件も含めて問い合わせをしてみましょう。
空き家の片付け補助金の目安

空き家の片付け補助金の目安金額は、10〜20万円程度です。
基本的に空き家の片付けにかかった費用の1/2までが上限となることが多いです。
また、空き家の片付けに関するものなら何でも補助金の対象となるわけではなく、自治体によって対象となる作業も細かく規定が決まっています。
なお、空き家の片付け補助金は、実際の片付け作業後に実績を確認して支払われるので、一旦は持ち出しで支払いが必要です。
空き家片付け補助金の対象となる作業

空き家の片付けにはさまざまな作業が発生しますが、その全てが補助金の対象となるとは限りません。
ここからは、一般的な空き家の片付け補助金の対象となる作業を紹介します。
1.ごみの収集運搬・処分費用
補助金の対象となる作業は、空き家のごみ収集や処分に関する費用です。
空き家に放置された家財やごみなどの収集運搬や処分を、業者へ依頼して処理する場合の費用です。
空き家に放置されているごみだけでなく、片付けに伴って生まれたごみの処分費用も補助の対象となります。
2.家財道具などの処分費用
空き家に残っている家財道具の処分費用も、補助金の対象です。
家財道具とは家具や衣類、日用品など日常的に使われているもので、ごみとして出せない場合には粗大ごみとしての回収が必要となります。
1つ1つ粗大ごみとして自治体に処理を依頼するのは大変なので、業者へ依頼して一気に回収してもらうケースが多いです。
この場合、業者側に対して家財道具の収集運搬、粗大ごみの処理費用を支払いますが、その一部は補助の対象となります。
3.家電の処分費用
空き家に残っている家電の処分費用も補助金の対象です。
ここでいう家電とは家電リサイクル法で指定されている特定家庭用機器のことで、以下のようなものが該当します。
- エアコン
- 冷蔵庫・冷凍庫
- テレビ
- 洗濯機
- 乾燥機
これらの家電は一般ごみとしては処分できません。
業者へ依頼する場合の収集運搬費用と、リサイクル料金が補助金の対象となります。
4.樹木の伐採や処分費用
空き家の敷地に生えている樹木の伐採や処分費用も、補助金の対象です。
放置されていた空き家は庭木が生い茂っていたり、雑草が生えていることも多く、このままでは買い手もつかないために補助の対象となっている自治体が多いです。
なお、その際は庭木の剪定や処分費用だけでなく、除草作業やその処分も補助の対象となります。
5.ハウスクリーニングの費用
一部の自治体では、空き家のハウスクリーニングの費用も補助対象です。
特に空き家バンクに参画している自治体では、空き家の売却をスムーズにして移住者を早く見つけるためにも、ハウスクリーニングに対して補助をおこなっています。
たとえば、千葉県の鋸南町ではハウスクリーニングに加えて、生活に必要な設備である排水管の清掃なども補助の対象です。
(参考:鋸南町空き家片付け応援支援金について(令和7年度))
空き家の片付け補助金事業を実施している自治体の例

2025年10月時点で空き家の片付け補助金事業を実施している自治体の例を紹介します。
都心であっても空き家率の高い地域などでは補助事業を実施していることが多いので、ぜひ問い合わせをして補助金が利用できるか確認してみましょう。
①東京都
東京都では空き家を所有している人に対して、さまざまな補助事業を実施しています。
| 補助金名 | 対象者 | 概要 | 補助額 |
| 東京都空き家家財整理・解体促進事業 | 個人(空き家所有者) | 空き家の家財整理または解体費用を補助 | ・家財整理:上限5万円 ・解体:上限10万円(費用の1/2) |
| 区市町村による支援制度 | 個人(空き家所有者) | 各区市町村が実施するリフォームや除却等の支援 | ・区市町村により異なる |
空き家の片付けに対しては、東京都の「東京都空き家家財整理・解体促進事業」が利用でき、家財整理に対して上限5万円の補助金が支給されます。
また、東京都では区市町村でも補助事業を展開しています。自治体によっては併用ができない可能性がありますが、併用できる場合は補助額を上げることができるので、ぜひ併用してください。
お住まいの地域での補助事業は区市町村による空き家に関する支援制度|補助金一覧|東京都住宅政策本部で確認できます。
②神奈川県大井町
神奈川県の大井町では「空き家片付け補助金」が利用できます。
| 対象者 | ・空き家バンクに登録された空家の所有者であること。 ・補助対象者が、町税等を滞納していないこと。 ・補助対象者が、同一の住宅について、この補助金の交付を受けていないこと。 ・補助対象者が、大井町暴力団排除条例第2条第1項第4号に規定する暴力団員等及び同項第5号に規定する暴力団経営支配法人等と密接な関係にないこと。 |
| 住宅要件 | ・空き家バンクに登録され、片付けを行った空き家であること。 ・空家片付け補助金の交付を受けた日から2年以内に、所有者が居住又は使用をしない空家であること。 ・空家片付け補助金の交付を受けた日から2年以内に所有者が3親等以内の親族にその空家を譲渡、売買又は賃貸をしない空家であること。 |
| 補助金額 | ・上限10万円 (片付けに係る大井町一般廃棄物処理業の許可を有する事業者への委託に要する経費が対象) |
| 申請期限 | 空き家片付け完了日の翌日から起算して6ヶ月以内 |
基本的に空き家バンクへの登録がされており、初めての補助金利用であれば利用できます。
③埼玉県川島町
埼玉県の川島町では「川島町空き家等解消促進事業補助金」が利用できます。
| 対象者 | ・所有者及びその者が属する世帯全員が、町税を滞納していないこと ・本人または同一の世帯に属する者が本要綱に規定する補助金の交付を受けていないこと ・川島町暴力団排除条例に規定する暴力団の構成員等でないこと |
| 住宅要件 | ・原則として相続人全員の同意を得ているもの ・所有権以外の権利が設定されていないもの ・空き家等対策の推進に関する特別措置法第22条に掲げる勧告を受けていないもの |
| 補助金額 | ①建物状況調査:上限5万円(費用の2/3) ②手続き・相談(弁護士・司法書士等):上限20万円(費用の2/3) ③家財整理:上限25万円(費用の2/3) ④賃貸改修:上限50万円(費用の2/3) ⑤解体:上限100万円(費用の4/5) |
| 申請期限 | 交付決定前に契約締結、または工事に着手した場合は補助対象外となるため、必ず事前相談が必要 |
出典:空き家の解消に向けた費用の一部を補助します – 埼玉県川島町
基本的に空き家を所有しており、税金の滞納や補助金の利用経験がなければ利用可能です。
なお作業によって補助金の金額が変動し、家財整理の場合は上限を25万円として費用の2/3を補助してもらえます。
さらに、空き家を賃貸に出すための改修工事であれば上限50万円までの補助が、解体の場合は100万円までの補助金が利用できます。
④千葉県鋸南町
千葉県の鋸南町では「鋸南町空き家片付け応援支援金」が利用できます。
| 対象者 | ・空き家の所有者であること ・町税等を完納していること ・過去にこの支援金の交付を受けていないこと ・暴力団員でないこと ※空き家の購入者や賃借人は対象外 |
| 住宅要件 | ・鋸南町空き家バンクに登録されている空き家 ・支援金の交付を受けた日から2年以上空き家バンクに物件登録できること(成約した場合は除く) |
| 補助金額 | 最大20万円 (支援対象経費が20万円に満たない場合はその額。空き家バンク登録空き家1件につき1度限り。家財道具等の搬出・処分費用が対象) |
| 申請期限 | 令和7年4月1日から令和8年2月27日まで ※予算が無くなり次第終了 ※片付け等着手前に必ず地域振興課まで連絡が必要 |
原則空き家バンクへの登録が必要ですが、登録がなくても片付け後に登録すれば支援金を利用できます。
補助金の金額は最大20万円で、支援対象経費が20万円以下の場合は100%の割合が支払われます。
なお、鋸南町では家財の片付け以外にもハウスクリーニングや遺品整理作業、仏壇の処分など幅広い範囲まで支援金が利用できます。
空き家の片付け補助金を利用する流れ

空き家の片付け補助金は多くの場合、事前申請が必要です。
補助金申し込みの流れを把握して、片付け前にスムーズに手続きを済ませられるようにしておきましょう。
STEP1:空き家バンクに登録する
ほとんどの自治体では、空き家バンクの登録が補助金利用の必須条件となっています。
空き家が所在する自治体が空き家バンクに参画している場合はまず、空き家バンクに登録しましょう。
空き家バンクへ登録するには、以下の流れで申請をしましょう。
なお、空き家バンクは自治体主導で運営されているため、細かな流れや申請書類が異なる場合があります。
必ず登録時は、空き家が所在する自治体の要項を確認してください。

出典:戸田市空き家バンク
- 空き家バンクへアクセス
- 「空き家を売りたい人」を選択する
- 登録申込に必要な申請書・添付書類を用意する
- 売買にかかる仲介をおこなう宅地建物取引業者を選任、物件調査をおこなう
- 担当する宅建業者と売買に係る媒介契約を締結する
- 空き家バンクに登録・物件情報が公開される
空き家バンクへ登録するにはまず、物件売買を任せる不動産業者を選び、物件の調査が必要です。
その調査結果をみて自治体が空き家バンクへ登録して良いかどうかが審査され、認められれば物件情報を空き家バンクへ掲載できます。
なお、空き家バンクを見た購入希望者が現れた場合の手続きをスムーズにするために、登録前に物件売買を任せる業者と「媒介契約(物件売買の仲介を依頼するための契約)」を結んでおきましょう。
※空き家バンクの登録が必須でない自治体の場合はこの手順は必要でないことがあります。
STEP2:自治体の指定する書類を提出する
空き家バンクへの登録を済ませたら、次は補助金の申請書類を提出しましょう。
申請書類は自治体によって指定があるので、必ずホームページ等で確認が必要です。
例として、千葉県鋸南市の申請書類を紹介します。


なお、こちらの申請書類や同意書だけでなく、自治体によって空き家の片付け前の写真などの添付が必要になる場合もあります。
STEP3:空き家の片付け業者を選ぶ
補助金の申請書類を提出したら、次は実際に空き家の片付けを依頼する業者を選びましょう。
補助金を利用する場合、自治体が指定する業者への依頼が条件となっている場合もあるので、業者の制限がないかチェックしておいてください。
一般的には、廃棄物の収集運搬について自治体から許可を得ている業者であれば、片付けの委託先として選べることが多いです。
空き家の片付け業者を選ぶときは、1つの業者へ決めずに複数の業者へ見積もりを取ってください。
そのうえで業者を選定した方が、費用面でも負担が少なくサービス面でも納得のいく業者を選べます。
自治体の補助金で片付け費用を全額賄えるわけではないので、できるだけ自己負担が少なくなる業者を選びましょう。
STEP4:片付けを実施する
業者を選定したら、実際に空き家の片付け作業を実施します。
多くの自治体では、作業前・作業中・作業後の写真撮影が必須となっているため、必ず記録を残しておきましょう。
特に以下のような場所は、撮影して写真を残しておいてください。
- 作業前の家の外観
- 各部屋の片付け前の状態
- 家財道具や不用品がある状態
- 作業中の様子
- 片付け後の各部屋の状態
- 片付け後の家の外観
特に千葉県鋸南町のように「この写真がない場合、支援金の申請をすることができません」と明記されている自治体もあるため、撮影は必須です。
同じアングルで作業前後を撮影しておくと、変化がわかりやすく審査もスムーズに進みます。
また、作業完了後は業者から領収書や請求書を必ず受け取りましょう。
この書類は補助金申請の際に必要となるため、大切に保管してください。
STEP5:空き家の片付けに関する報告書や請求書を提出する
片付け作業が完了したら、自治体に対して実績報告書を提出します。
報告書と一緒に、以下のような書類を添付するように指定されることが多いので、一式揃えてから提出しましょう。
書類に不備があると支給が遅れる場合があるので、事前に揃えておいてください。
- 作業前後の写真
- 業者からの領収書や請求書の写し
- 作業内容がわかる明細書
- その他自治体が指定する書類
なお、報告書の提出期限は自治体によって異なります。
たとえば神奈川県大井町では「空き家片付け完了日の翌日から起算して6ヶ月以内」と定められているように、期限が設けられていることが多いです。
期限を過ぎると補助金を受け取れなくなるため、片付け完了後は速やかに手続きをおこないましょう。
STEP6:補助金が指定口座に振り込まれる
実績報告書の審査が完了し、補助金の額が確定したら、自治体から「交付確定通知書」が届きます。
その後、補助金交付請求書を提出することで、指定した口座に補助金が振り込まれます。
補助金の振り込みまでにかかる期間は自治体によって異なりますが、一般的には請求書提出後1〜2ヶ月程度です。
なお、補助金は後払いとなるため、片付け費用は一旦全額自己負担で業者に支払う必要があります。
事前に手元の資金に余裕があるときに、計画を立てて空き家の片付けをおこないましょう。
便利屋サービス21で空き家を片付けた場合の費用相場

便利屋サービス21でも、空き家の片付けが可能です!
空き家のごみや家財の収集運搬はもちろん、ハウスクリーニングや特殊清掃、除菌処理、リフォームまで対応できます。
物件を売却するための準備もワンストップでご依頼可能です。
さらに、物件を売却する際の不動産会社との連携もできるので、面倒な売却作業の手間を省けます。
空き家を解体して更地にしたい場合は、解体作業も承ります。
所有している空き家の処分にお困りなら、ぜひご相談ください。
便利屋サービス21の片付けサービスは、【ごみ屋敷もOK】空き家整理・空き家片付け | 便利屋サービス21をご覧ください。
空き家の片付け事例

埼玉県越谷市のお客様から、長年放置していた空き家の片付けをご依頼いただきました。
実家がずっと空き家になっており、片付けをしなければならないまま放置していたそうです。
この度九州に転勤が決まったことから、早急に片付けが必要になり、弊社へご依頼いただきました。
戸建ての空き家でしたが、老朽化などもなく綺麗な状態だったため、1日かけて家財を処分。
スタッフ3名がかりで室内とお庭の片付けまで済ませることができました。
「実家から離れた場所に住むため、かなり急いでいたので急な依頼になりましたが、きっちり対応していただけました」と喜びの声をいただいております。
※今回のお客様は自治体の補助金制度を利用せず、弊社独自の分割払い(頭金〇円)でお支払いされています。
空き家の片付け補助金についてよくある質問

最後に、空き家の片付け補助金についてよくある質問を紹介します。
Q1.補助金で空き家の片付け代金をまかなえますか?
自治体によって補助額が異なりますが、支給上限額は経費の1/2で、上限額は10〜20万円程度です。
そのため、片付け費用の半分程度は自己負担となるケースが多いでしょう。
なお、片付け費用が上限額を上回らない場合は1/1の補助を受けられる場合もあります。
Q2. 空き家の片付け補助金に上限はありますか?
片付け補助金の上限は、多くの自治体で経費の1/2程度、上限額は10〜20万円です。
ただし、片付け以外の作業、たとえば解体などでは自治体によって100万円まで補助が出る場合があります。
上限についても自治体ごとに異なるため、詳しくは空き家の所在自治体に確認しましょう。
Q3.空き家を解体したいのですが、補助金は使えますか?
解体に対しても補助金が利用できます。
空き家解体の補助金の上限は20〜100万円程度が相場で、自治体によってこの金額は異なります。
空き家がある自治体の窓口へ、空き家の解体補助金があるか問い合わせしてみましょう。
空き家の片付けなら便利屋サービス21へお任せください!

放置していた空き家の片付けを業者へ依頼したくても、費用面が心配で踏み出せない方もいるでしょう。
そのような方は、自治体の空き家片付け補助金を利用しましょう。
自治体によって条件は異なりますが、空き家の片付け費用の半分程度を補助金で賄えるケースが多いです。
申請の流れや金額、条件は自治体ごとに違うため、必ず空き家がある自治体に問い合わせをしてから、申請の計画を立てましょう。
便利屋サービス21は、空き家の片付けを承っています。
空き家にあるごみや粗大ごみの処分はもちろん、物件の清掃やハウスクリーニング、除菌作業などもワンストップで依頼可能です!




















