「統合失調症になると部屋を片付けられない理由とは?」
「病気で身の回りの世話ができなくなって部屋がゴミ屋敷になってしまった」
統合失調症の方の部屋が片付けられなくなり、ゴミ屋敷化してしまうケースは少なくありません。
これは病気の症状による結果であり、本人のせいではありません。
しかしそのまま放置しておくと健康面でも、もちろん統合失調症の治療にも良い影響を与えないのは確かです。
この記事では、統合失調症の方の部屋が片付けられなくなる理由や各症状段階での特徴、家族ができるサポート方法を詳しく解説します。
後半では、福祉サービスの活用方法や専門業者への依頼方法、そして片付け後の再発防止策についても触れていますので、最後までご覧ください。
目次
統合失調症だと片付けられない理由は?
統合失調症の患者の家が汚部屋やゴミ屋敷になるケースは非常に多いのですが、その理由はなんでしょうか?
統合失調症になると片付けられない理由について解説します。
統合失調症とは
統合失調症とは脳神経に異常をきたし、統合された考え方ができなくなる病気です。
そのため当たり前にできていた片付けやゴミ出しを含む身の回りのことができなくなってしまいます。
身だしなみを整えたり、服を着替えたりすることもできなくなる方も多いです。
なお、統合失調症は以下のようなフェーズを通して回復へ向かいます。
段階 | 主な症状 | 特徴 |
前駆期 | 気分障害・うつ病様症状 | 発症初期の前兆のサイン
この段階で治療するのが望ましい |
急性期 | 強い妄想・幻覚・幻聴 | 症状が最も激しい時期 |
休息期 | 感情の喪失・無気力 | 急性期の症状が落ち着き、心身が休まる時期 |
回復期 | 認知機能の低下 | 幻覚・妄想は改善するが、認知面での課題が残る |
なお、統合失調症は前兆として気分障害やうつ病のような症状が現れ、症状が悪化すると強い妄想や幻覚・幻聴が聞こえるようになる急性期へ移行します。
その後、急に感情が失われて無気力になる休息期を経て、回復していきます。
回復期は幻覚や妄想等はおさまる傾向にありますが、認知機能が低下してしまう症状が出るケースが多いようです。
正常な思考ができなくなる
統合失調症にかかると、思考が混乱してしまい、正しい判断がしづらくなってしまいます。
特に急性期はありえない妄想を信じ込んでしまい、その結果として片付けやゴミ出しができなくなってしまうのです。
例えば統合失調症の方が「ゴミ出しに行くと、私を狙う集団ストーカーに居場所がバレる」と思い込み、ゴミ出しに行けなくなったりします。
周囲の人にも自分の妄想をとめどなく話し続けたりするなど、精神に問題があるのが明らかな状態になります。
無気力・無関心で整頓ができなくなる
統合失調症の休息期は、急に無気力になり、何事にも無関心になってしまいます。
感情が消え失せたようになり、風呂に入ったり歯磨きをしたり、着替えをするなどの身だしなみを放棄する場合も多いです。
当然ゴミ出しや片付けもできなくなり、この期間に部屋が汚部屋になってしまう人が多いです。
認知の低下で身の回りの世話ができなくなる
統合失調症の回復期は今までのような症状や無気力状態は軽減されますが、認知能力の低下や注意力欠陥を発症することがあります。
認知能力が低下するため正しいゴミの分別ができなくなったり、ゴミ出しの曜日がわからなくなる人も多いです。
「お風呂に入ろう」と思ったのに、途中で気が散ると「何をすれば良いんだっけ」と忘れてしまい、行動できなくなるようなケースも認知能力の低下が原因です。
また、注意欠陥により片付けに集中できず、部屋が散らかりっぱなしになってしまうなど、日常生活が通常通りにこなせない方も多いでしょう。
統合失調症とゴミ屋敷の相関関係について
統合失調症患者の家がゴミ屋敷になる事例は多いですが、その相関関係についても解説します。
うつ病のような症状が現れる
統合失調症の発症段階ではまず、うつ病のような症状が現れます。
強い不安や焦り、集中力の欠如などの症状が現れて、無気力になって身だしなみに構わなくなるなどの症状が出ることが多いです。
家の整理整頓ができなくなり、ゴミ出しが疎かになるような症状も出始めます。
幻覚や妄想症状が現れる
抑うつ症状を超えると、次の段階として幻覚や妄想症状が現れます。
急性期と呼ばれて、一番症状が目立つ時期であり、1〜数ヶ月間はこの期間が続きます。
なお、この頃から妄想に取り憑かれてゴミを溜め込み始めるような行動をとる人が多いです。
例えば「悪の組織に狙われているから、外に出られない(ゴミ出しに行けない)」「ゴミを隙間に詰め込まないと、外から覗かれる」といったように、妄想を信じ込んで、はたから見ればおかしな行動を取り始めます。
本人からすれば「ゴミを出せない理由がある」「ゴミが自分を守ってくれる」と信じているため、知らず知らずのうちに部屋をゴミ屋敷にしてしまうケースが多いでしょう。
意欲が低下する
「統合失調症の世界を体験する没入イベントで展示されていた再現部屋が何か違う…→「部屋が綺麗な人が想像で作った汚い部..」https://t.co/x7be9f5syT をお気に入りにしました。
— 黒猫屋 (@sigh_to_you) October 16, 2024
急性期は興奮しているような状態ですが、休息期(陰性期)と呼ばれる期間では、感情が著しく乏しくなります。
いつも寝ている、引きこもり、無気力な状態が続き、自分の世話が一切できなくなることが多いです。
この状態になると、ゴミを出さなかったり、食べかすを放置するようになり、次第に部屋が汚れていってしまいます。
急性期で最低限のゴミ出しや片付けができていた人でも、休息期に入ると身の回りのものに無関心になり、部屋がゴミ屋敷になるケースが多いです。
症状が治る過程で認知機能に障害が出る人も
統合失調症は順当に回復すれば、休息期を経て数ヶ月〜数年続く回復期へ移行しますが、この時期に認知機能が低下する人がいます。
認知機能が低下すると物忘れがひどくなったり、注意力が低下したり、計画を立てて物事を進められなくなってしまいます。
そのためゴミを捨て忘れたり、ゴミの分別の方法自体を忘れてしまうような方も。
また、片付けの気力はあっても、計画を立てて行動するのが難しく、いつまで経っても部屋を綺麗にできなくなることがあります。
統合失調症には4つのフェーズがありますが、全てのフェーズを通じて身の回りの世話が衛生管理が難しくなるのが特徴です。
その結果として部屋が汚部屋化したり、場合によってはゴミ屋敷になってしまうことがあります。
その他片付けられなくなる病気については、片付けできない病気7つ|セルフチェックや片付け習慣の付け方も紹介で紹介しています。
統合失調症で自宅を片付けられない場合の対策
統合失調症で自宅を片付けられないとお悩みの方向けの対策を紹介します。
医療機関で適切な治療を受ける
統合失調症の疑いがある方はまず、医療機関で適切な治療を受けましょう。
今は投薬治療も進化しており、合う薬が見つかればかなり早期に回復を目指せます。
統合失調症が重かったころ、部屋なんてろくに掃除できなくていつも散らかってて、さらに髪の毛がなかなか洗えなくて、みすぼらしい自分を鏡で見るのも嫌だった。一生こうして汚いまま生活するのかなと思ってたけど、最近は進んで掃除機かけてお風呂も大好き。今しんどいひともできることは戻ってきてく…
— 占い師おまめみ | 甘美で楽しい恋愛のススメ (@omamemi_reading) October 28, 2024
実際に統合失調症を経験して片付けや掃除ができなくなった方も、このように回復しています。
そのためには、早期の治療が欠かせません。
もしもあなたが「毎日眠れなくて不安だ」と感じているなら、まずは医療機関で受診してみましょう。
今の不安感が統合失調症の前駆期である場合、早期に治療すれば症状を悪化させずに治療が可能です。
また、家族の言動がおかしいと感じている方は、刺激をしないように配慮しつつ病院へ連れて行きましょう。
統合失調症は放置していても完治はせず、急性期以降は本人が自身で病院へ行くのが難しくなります。
本人が気分が良さそうな時などに声をかけ、医療機関で適切な治療を受けられるよう支援しましょう。
気分が優れている時に片付けをしてみる
あなたが「今日は片付けができそうだな」と思うときに、思い切って片付けに挑戦してみましょう。
ベッドの周りだけ、座っている場所の半径50センチだけなど小さな範囲で良いので、少し整理をしてみてください。
投薬治療を始めると気分が落ち着く日が増えてくるので、そのタイミングで挑戦してみましょう。
一度でも片付けや整理整頓が成功すれば、その時の達成感からより広い範囲を片付けられるようになるかもしれません。
整理整頓や身だしなみは家族の手を借りる
統合失調症の急性期から陰性期は特に身だしなみ、整理整頓ができなくなるため周囲のサポートに頼りましょう。
「申し訳ない」と思うかもしれませんが、統合失調症で身の回りのことができないのはあなたのせいではありません。
また、統合失調症のご家族をお持ちの方は、医療機関の指導などを受けて身だしなみや片付けを手伝ってあげてください。
もしも本人が暴れるなど、サポートが難しいような状態なら、福祉を頼るのも手段のひとつです。
投薬して症状は改善するが完治には時間がかかるので、周りが適度な距離をとりながらサポートを継続して行きましょう。
ゴミ屋敷になっている場合はゴミ屋敷専門業者を頼る
すでにお部屋がゴミ屋敷になっている場合は、ゴミ屋敷専門の片付け業者に頼りましょう。
統合失調症にかかっていない場合でも、ゴミ屋敷を片付けるのはかなり難しい作業です。
ゴミ屋敷は不衛生なだけでなく、雑菌や害虫、害獣の温床となるため、病気のリスクがあります。
そのうえ、火災やゴミによる転倒などの事故の危険もあるため、早めに片付けなければなりません。
一度部屋を片付けて、その後は福祉や自分たちで片付けを継続し、治療と並行して進めていく形が望ましいです。
統合失調患者のご家族を持つ方への5つのアドバイス
統合失調症患者のご家族を持つ方へ、5つのアドバイスを紹介します。
妄想や片付けられないことについて批判しない
統合失調症にかかっている方は、ご家族の方から見れば「ありえないような妄想」を話すことがあります。
しかし、その妄想に対して「ありえない、何いってるの!」など、強く批判するのはやめましょう。
同様に片付けができないことについて「こんなにごみをため込んで!」などと怒るのも今は我慢してください。
本人にとってはゴミが宝物のように見えていたり、自分を守るバリケードの役割を果たしていることがあります。
統合失調症の方にとってその妄想は真実であり、強く否定をされると感情的になって暴れたり、反対に酷く落ち込んでしまうことがあります。
基本的にご家族の方は、統合失調症の方が言うことは「そうなの」程度に聞き流し、片付けなどについてはさりげなくサポートをするようにしましょう。
急性期の妄想や発言に過度に共感しない
患者さんはいろいろな暴言を吐いたり、妄想したりすることがありますが、過度に共感しすぎないようにしましょう。
「この子には私がいなきゃ」「こんなことを言われた」と感情を動かさないようにしてください。
急性期の妄想や発言に過剰に反応していると、家族の方が疲弊して精神を病んでしまうことがあります。
ご家族の方の心を守るためにも、統合失調症の方の言動にかまいすぎないスタンスを保ちましょう。
福祉の援助を利用して自分を追い詰めない
自分たちだけでなんでもやろうとするのは無理なので、福祉の援助も積極的に利用しましょう。
例えば精神通院医療費の公費負担制度を利用すれば、医療費の自己負担が原則1割になるため経済的な負担を減らせるでしょう。
また、障害年金を受給することで月7〜15万円程度の給付を受けることができ、経済的な支えとなります。
精神障害者保健福祉手帳を取得すれば、交通機関の割引や税金の優遇制度、公共料金の割引なども受けられます。
20歳以上の方は特別障害者手当の受給も検討してみましょう。
なお利用できる福祉的な援助は、お住まいの自治体の市役所の窓口で相談できます。
このように、利用できる制度は数多くありますので、一人で抱え込まず、できるところから支援制度を活用していくことが大切です。
治療の援助は続ける
統合失調症は断薬すると症状が悪化する可能性が高い病気なので、治療のサポートは継続的に行うことが大切です。
服薬を中断してしまうと、せっかく改善した症状が再び悪化してしまう危険性があります。
特に統合失調症の場合、薬物療法と心理療法の組み合わせが効果的とされており、長期的な治療継続が重要です。
また、一時的に介護が必要な場合や家族が休息を取りたい時には、ショートステイなどの福祉サービスを利用するのも有効な選択肢です。
身だしなみや整理整頓のサポートに入る
統合失調症にかかると身だしなみや整理整頓ができなくなる人が多いので、家族の方でさりげなくサポートしてあげることが重要です。
その際に無理に着替えさせたり、子供にするように勝手に片付けてあげたりするような接し方はプライドを傷つけるため、避けましょう。
例えば、本人が着替えをしたら「さっぱりしていいね!」とポジティブな声がけをし、今後も本人が自発的に着替えをしたくなるように促します。
本人が身だしなみを整えられないときは、「おはよう、顔を洗ってさっぱりしてきたら良いよ」と、前向きな声かけをしましょう。
これらのサポート方法については、病院のスタッフに相談すると具体的なアドバイスをもらえるので、不安な時は相談してみると良いでしょう。
このように本人の自尊心を大切にしながら、日常生活の支援を継続的に行っていくことが、回復への重要な一歩となります。
便利屋サービス21で対応した統合失調症患者の部屋の片付け
精神疾患を患った影響でゴミを溜め込んでしまったゴミ屋敷の片付け作業【神奈川県横浜市神奈川区】
今回は神奈川県横浜市のお客様のお部屋の片付け事例を紹介します。
お客様は職場のパワハラでうつ病を発症し、無気力状態になったことからお部屋がゴミ屋敷になってしまったそうです。
投薬により徐々に症状が回復しているものの、ゴミ屋敷になったお部屋の片付けができずにお困りでした。
今回はお客様の経済状況なども考えて分割でのお支払いを提案し、ゴミ屋敷の片付けとハウスクリーニングを行いました。
早速4名のスタッフでお片付けを始めて、部屋に散乱するゴミを処分。
ゴミをため込んでいたお部屋は害虫も発生していて不衛生な状態でしたが、4名で3時間でゴミを回収し終わりました。
その後、お部屋をきれいにするためのハウスクリーニングを実行。
長年掃除をされていなかったため汚れは頑固でしたが、プロの技術でお部屋がすっかりピカピカになりました。
統合失調症で片付けられないとお悩みなら便利屋サービス21へご相談ください
統合失調症は、脳神経の機能に異常をきたし、統合された考え方ができなくなる病気です。
特に急性期では妄想により正常な判断ができなくなり、休息期では無気力により身の回りの整理が疎かになり、回復期でも認知機能の低下により、計画的な片付けが難しくなります。
当事者の方もご家族の方も一人で抱え込まず、医療費の負担軽減や障害年金など、利用できる制度は積極的に活用しましょう。
また、お部屋の状態を改善するには便利屋サービス21にお任せください。
統合失調症の方の部屋の片付け経験が豊富なスタッフが、症状に配慮しながら丁寧に対応させていただきます。
もちろんご家族からのご依頼による片付けも受け付けていますので、ぜひ一度ご相談ください。