「実家に行くたびゴミやものが溜まっていて心配」
「そもそもなんでゴミやものを溜め込むんだろう…」
高齢になる家族や知り合いの中にゴミ屋敷に住んでいる人がいると心配になるものです。
ただ、家がゴミ屋敷のようになる理由はさまざまで、対処する際は、正しく対処しなくてはいけません。
この記事では、高齢になる家族の家がゴミ屋敷になっている・なりかけている方向けに、以下の情報をまとめています。
- 高齢者の家はゴミ屋敷になりやすいのか
- 高齢者の家がゴミ屋敷になりやすい原因や理由
- ゴミ屋敷を放置するリスク
- 高齢者の家のゴミ屋敷化を防ぐ方法
- ゴミ屋敷になってしまったときの対処法
この記事を読むことで、高齢者の家がゴミ屋敷になる原因や理由についての理解が深まり、正しく対処できるようになるので、ぜひご覧ください。
目次
高齢者の家はゴミ屋敷になりやすい?実態を調査
総務省の調査では、全国各地の30の市区において、令和4年10月1日までの間に1,970件のゴミ屋敷の事案が確認されています。ゴミ屋敷の事案のうち約3分の1が単身の高齢者の家であることからもわかるとおり、高齢者の家はゴミ屋敷になりやすい傾向があります。
単身の高齢者は、体力や気力が低下しているにも関わらず、家族によるサポートが受けられません。
そのため、その他の世帯に比べてゴミ屋敷化しやすいわけです。
ゴミ屋敷は、その家に住む高齢者本人はもちろん、周辺の住宅にも影響を及ぼすため、早急に対応する必要があります。
高齢者の家がゴミ屋敷になりやすい原因・理由
「体力の低下」や「認知症」など、高齢者の家がゴミ屋敷化する原因・理由はさまざまです。
高齢者の家がゴミ屋敷化する原因・理由を解説します。
体力の低下によって片付ける意欲がなくなる
年をとると若い頃に比べて筋力や体力が著しく低下するため、日々の掃除やゴミ出しが困難になります。
70歳になると20歳のときと比べて握力が30%低下するとされており、脚力に関しては50〜60%ほど低下するというデータも。
持久力についても若い頃の50%程度にまで低下するため、日常的に部屋を片付けたりゴミを出したりすることが難しくなるわけです。
筋力や体力が低下すると、体を動かすこと自体が億劫になって片付けに対する意欲が低下することも。
そうなると、「ゴミをまとめる」「分別する」などの簡単な作業もできなくなるため、家がだんだんとゴミ屋敷化していきます。
認知症によって片付けるべきかどうか判断しづらくなる
加齢によって低下するのは筋力や体力だけではありません。
日々生き生きと生活していく上で欠かせない、ものごとを判断する力や考えを処理するスピードなどの認知機能も低下していきます。
厚生労働省が公表している「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」によると、65歳以上の高齢者の約3割が認知症や軽度認知障害であるというデータも。
家の片付けやゴミの処分にはさまざまな判断が求められますが、判断に必要な能力が低下するため、片付けられなくなったりゴミを捨てられなくなり、だんだんと家がゴミ屋敷化していきます。
精神疾患やセルフネグレクト
掃除やゴミの処分が困難になる精神疾患やセルフネグレクトも、高齢者の家がゴミ屋敷になる原因の一つです。
「うつ病」の症状はさまざまですが、無気力になるため、掃除やゴミ出しが困難になりがちです。
うつ病がひどくなると「セルフネグレクト」といって、自分自身の服装や食事、衛生面を気にしなくなる状態になることがあります。
セルフネグレクトは高齢者に多いとされており、部屋の片付けや掃除、ゴミ出しなどをしなくなるため、家がゴミ屋敷になりやすくなります。
「もったいない」という心理
戦時中や戦後のものがない・ものが少ない時代を経験している高齢者は、「もったいない」という心理が働き、ものを捨てられなくなりがちです。
思い出の品を捨てずにとっておくのは決して悪いことではありません。
ただ、本来であれば処分するべき不要なものでも「捨てるなんてもったいない」「いつか使うかもしれない」と考えて溜め込むため、家がゴミ屋敷になりやすくなります。
価値のないものを大量にためこむようになり、手放せなくなる「溜め込み症」も、この「もったいない」という心理からくるものです。
「もったいない」という心理が強く働く高齢者は、ものが増え、囲まれている状態になると安心するため、ますますものを捨てられない状態になります。
人に頼む・人を頼ることへの抵抗感
日本の高齢者は、「迷惑をかけたくない」という思いが強く、人に頼むことや人に頼ることに抵抗感を感じる傾向があります。
高齢者の近所づきあいに関する国際比較調査でも、「互いに相談し合う」と回答した高齢者の割合は日本がもっとも低く、「頼る」と回答した高齢者は約20%しかいませんでした。
体力や認知機能の低下によって片付けやゴミの処分が難しくなったとしても、家族や近所の人の支援があれば解決できます。
しかし、「迷惑をかけたくない」「頼りたくない」という心理が働いてしまうため、片付けやゴミ出しが困難になってもなかなか助けを求められず、気付いたときにはゴミ屋敷化しているわけです。
収入減による有料サービスを利用することへの抵抗
掃除やゴミの処分は有料のサービスを使って行うこともできますが、収入が減ったことでそれらの有料サービスの利用を控える高齢者も少なくありません。
高齢者は、国民年金や厚生年金などの年金が主な収入源になるため、仕事をしているときに比べて収入が大きく下がりがちです。
高齢者の相対的貧困率に関する調査によれば、男性の単身世帯の相対貧困率は29.3%、女性の単身世帯の相対貧困率は44.6%と非常に高くなっています。
貧困の状態になると、食費や光熱費などの支払いで精一杯になり、他のことにお金を捻出しづらくなります。
その結果、掃除やゴミ出しをできない状態が続き、家がゴミ屋敷化するわけです。
ゴミ屋敷化が招く高齢者への被害やリスク
家がゴミ屋敷化するとさまざまな被害やリスクが想定されるため、放置せず、なるべく早く片付けなくてはいけません。
家がゴミ屋敷になることで想定される、高齢者への被害やリスクを解説します。
火災のリスク
長らく掃除していないゴミ屋敷は、ゴミやホコリによるコンセントからのトラッキング火災が発生しやすい上に、積もったゴミによって被害が広がりやすくなっています。
ゴミ屋敷での火災では、家の中がゴミやもので溢れかえっていることで住人が逃げ遅れ、最悪の結果を招く可能性も。
また、放火犯に狙われやすいのもゴミ屋敷の特徴の一つです。
放火による火災は火災全体の12.1%に相当するとされているため、リスクが低いとは言い切れません。
火災は、発生元となるゴミ屋敷やゴミ屋敷の住人への被害はもちろん、近隣を巻き込み、大きな被害をもたらしかねないという側面もあります。
転倒による怪我のリスク
ゴミで足の踏み場もないゴミ屋敷では、転倒して大怪我をする可能性もあります。
内閣府が公表しているデータによると、1年以内のうちに自宅で転倒した高齢者の割合は10.6%と決して高くありません。
ただ、転倒した方のうち、男性は2人に1人、女性は3人に2人の割合で怪我をしたと回答しています。
骨折などの大怪我をしたと回答している高齢者も多く、転倒による怪我をきっかけに介護や介助が必要になったという事例も。
ゴミ屋敷の場合、ゴミ屋敷でない住宅に比べてより転倒しやすくなるため、怪我のリスクも高まります。
衛生環境の悪化による病気のリスク
掃除の機会が減少し、家の中にゴミを溜め込むようになると衛生環境も悪化しますが、それにより高まるのが病気のリスクです。
掃除を怠ることで発生するホコリやカビは、鼻炎や喘息など呼吸器系の疾患を引き起こしかねません。
ゴミに集まってくるネズミやゴキブリなどの害虫にも注意が必要です。
「感染症の運び屋」として知られるネズミは、腎症候性出血熱やE型肝炎などの重大な病気の原因となる可能性があります。
家中に雑菌をバラまくゴキブリも、O-157やアレルギーなどの被害をもたらすため注意が必要です。
近隣住民とのトラブルのリスク
害虫や害獣、悪臭を発生させるゴミ屋敷は、近隣住民とのトラブルの種になることもあります。
家の近くにゴミ屋敷があるだけでストレスになりますし、火災の危険性を考えると、気が気でない住民も多いはずです。
近隣住民とのトラブルによる問題は、その地域で生活しづらくなるだけではありません。
最悪の場合、何かしらの被害を加えられる可能性もあります。
また、近隣住民との関係が悪化することで、助けが必要なときに頼れなくなるというリスクも。
近隣住民や地域のサポートがとくに必要になりやすい単身の高齢者にとって、近隣住民とのトラブルによるリスクは避けなければならないリスクだと言えます。
高齢者の家のゴミ屋敷化を防ぐには
ゴミ屋敷化による被害やリスクを避けるには、家がゴミ屋敷になるのを防がなくてはいけません。
高齢者の家がゴミ屋敷になるのを防ぐ方法を解説します。
ゴミ屋敷に住む危険性を理解してもらう
高齢者の家のゴミ屋敷化を防ぐには、「ゴミ屋敷が危険なものである」と理解してもらうことが大切です。
ゴミ屋敷には、以下のようにさまざまなリスクがあります。
ゴミ屋敷のリスク | 概要 |
火災のリスク | ホコリによるコンセントからのフラッシュ火災が起こりやすく、溜めたゴミによって火が燃え広がりやすい |
転倒や怪我のリスク | ゴミやもので足の踏み場がなくなることで転倒のリスクが高まり、骨折によってそのまま介護や介助が必要になる可能性もある |
病気のリスク | ホコリやカビによる疾患やアレルギー、ネズミやゴキブリなどの害獣・害虫が媒介する細菌によって重大な病気などの健康被害 |
近隣住民とのトラブルのリスク | 景観を乱すことや悪臭、害獣・害虫の発生によって近隣住民とのトラブルにつながる可能性がある |
これらのリスクの中には、大怪我や重大な病気など今後の生活や命に関わるようなリスクも。
リスクを伝えて理解してもらうことで、ゴミ屋敷に住んでいることに危機感を覚えたり片付けたいと思ったりしてくれる可能性があるので、まずはリスクを伝えるところから始めてみましょう。
家族や友人・知人、近隣住民による支援
体力や認知機能が低下する高齢者の家がゴミ屋敷になるのを防ぐには、周りのサポートが欠かせません。
サポートできる家族や友人・知人が近くに住んでいるのであれば、ゴミ出しを手伝ったり、週に1回でもいいので訪問して掃除や片付けを手伝ってあげてください。
遠方に住んでいて頻繁に訪問するのが難しい場合は、月に1回程度の訪問や電話で積極的にコミュニケーションを図って生活状況を把握し、ゴミ屋敷になるのを防ぎましょう。
家族や友人・知人でサポートするのが難しい場合は、近隣住民の方と連携してサポートするのもおすすめです。
家族や他人と関わる機会が増えると、孤独感が解消され、ゴミやものを溜め込みづらくもなります。
介護サービスを利用する
高齢者の方が要支援や要介護の認定を受けている場合は、訪問介護のサービスを利用してゴミ出しや片付け、掃除などのサポートを受けられます。
定期的に来てもらってゴミを出してもらったり、部屋を掃除してもらうだけでも家のゴミ屋敷化は防げるはずです。
ただ、訪問介護は最低20分以上の利用が必須となるため、ゴミ出しだけを依頼することはできません。
利用する際は、ゴミ出しと片付け、掃除などをまとめてお願いして、利用時間が20分以上になるようにしましょう。
すでにゴミ屋敷化している住宅の掃除や片付け、ゴミ出しは介護保険によるサービスの対象外であるため、不用品回収業者やゴミ屋敷の片付けを専門的に行っている業者に依頼するようにしてください。
ゴミ屋敷になってしまったら?
高齢者の家はゴミ屋敷化しやすいため、ゴミ屋敷になったときの対処法も押さえておきましょう。
家がゴミ屋敷になったときの3つの対処法を解説します。
自分たちで片付ける
ゴミ屋敷の片付けにかかる費用を少しでも抑えたいのであれば、自分たちで片付けるのがおすすめです。
有料のサービスを利用するとそれなりの費用がかかりますが、家族や友人・知人が集まって自力で片付ける場合であれば、掃除用具や粗大ゴミの費用など最低限の負担で片付けられます。
ただし、自分たちで片付けられるのは、あくまでもゴミの量が少ないときのみです。
ゴミやものの量が多かったり、長らくゴミ屋敷の状態が続いていて臭いや虫が発生していたりする場合は、自力で対処するのが難しくなります。
参加した人が怪我をしたり病気になったりする可能性もあるので、重度のゴミ屋敷の片付けは、国や自治体のサービスを活用するか専門の業者に依頼するようにしましょう。
自力でのゴミ屋敷の片付けについては、以下の記事で詳しく解説しています。
▶ゴミ屋敷の片付けが自力でできるかチェック!片付けの手順とコツも解説
自治体による支援やサービスを活用する
住んでいる地域によっては、自治体による支援やサービスを活用してゴミ屋敷を片付けることもできます。
例えば、大阪市の場合だと、区役所をはじめとする関係機関が連携して片付けを支援してくれます。
経済的支援に関する相談にものってくれますし、再度ゴミ屋敷にならないような支援を受けることも可能です。
ゴミ屋敷条例に関する条例が制定されている自治体に住んでいる場合は、一度担当部署に相談してみることをおすすめします。
ただし、支援やサービスの内容はそれぞれの自治体によって異なるため、条件や内容をよく確認しながらサポートを申し込むようにしてください。
専門業者に片付けを依頼する
自力で片付けるのが難しく、国や自治体の支援を受けるのも難しい場合は、専門の業者に片付けを依頼しましょう。
ゴミ屋敷の片付けは、ゴミ屋敷のような汚部屋専門の片付け業者や、ゴミ屋敷の片付けサービスを提供している不用品回収業者に依頼できます。
費用はかかりますが、すべてプロにお任せできるため、1〜2日でゴミ屋敷を綺麗に片付けられます。
害獣・害虫の駆除や消臭などの専門的な部分まで対応してもらえるのは、専門業者ならではです。
ただし、費用やサービスの内容はそれぞれの業者によって異なるので、業者選びは慎重に行うようにしてください。
高齢者の家がゴミ屋敷になったときは便利屋サービス21へご相談ください
データからもわかるとおり、高齢者の家はゴミ屋敷になりやすい傾向があります。
一人で生活している単身の高齢者はとくに注意が必要です。
家がゴミ屋敷になるとさまざまなリスクにさらされることになるので、「ゴミ屋敷になりそうだな」と感じるときは、家族や友人・知人などまわりの方がサポートしてあげることが大切です。
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